中学受験を目前に控えると、自分に合った参考書を選ぶことが大変重要になります。塾の授業だけでなく、家庭学習のためにも適した追加教材を見つける必要があるものです。特に理科や社会のように、覚えるべきことが多い科目では、効果的な問題集の選択が求められます。
多くの選択肢の中でも、サピックスの生徒に人気が高いのが『コアプラス』という問題集です。しかし、人気があるからといって、すべてのお子さんに適しているわけではありません。
この記事では、『コアプラス』の特徴と、どのようなお子さんに最適か詳しく解説します。理科や社会での暗記に苦戦している子や、成績向上を目指す子は是非参考にしてみてください。
サピックス(SAPIX)のコアプラスとは?
まずはコアプラスにどのような特徴があるのか紹介をしていきます。
サピックス(SAPIX)の5・6年生が使用する教材
サピックスではコアプラスを5年生、6年生で使用しています。答えが赤字で印刷されているので赤シートで答えを隠しながら解いていくスタイルです。一問一答形式になっているため、基礎固めとして有効な教材になっています。
サピックスでは授業を受けた後、基礎トレという教材に取り組んだ後コアプラスに取り組むというのが基本的な流れです。授業で習った内容で重要な基礎知識をコアプラスで固めていく仕組みになっています。特に5年生の段階で入試の頻出単元をほぼすべて終わらせるサピックスでは、コアプラスを用いて知識を完成させておくということはとても重要なことなのです。
サピックスメソッドを知ることができる数少ない教材
サピックスの塾内で使用されている教材というのは、塾生以外に向けて販売されているものはありません。コアプラスはサピックスの生徒たちも活用している教材であり、サピックスでの学習内容を塾生以外が知ることのできる数少ない教材です。
サピックスは教材が豊富なことで知られています。そのすべての教材は講師と教材開発担当のスタッフによるオリジナルのものです。教材開発担当と実際に授業で生徒たちにと接している講師たちが常に入試問題研究をしながら、どうすれば生徒たちの理解につながるかを考えながら教材の開発を行い、定期的に改定も行っています。
すぐに生徒に合った教材を配布できるように、サピックスでは単元ごとに印刷して教材が配布される仕組みになっています。
このような仕組みであるため、教材の多くは冊子の形になって外には流通していません。ただ、受験勉強において核となるような基礎的知識というのは普遍的なものも多いです。
そういった内容を取りまとめてコアプラスは作成されています。サピックス生にとっては、普段の授業を受けながら効率よく理科社会の基礎知識を埋めていける教材となっており、とても重要な役割を果たしている教材です。
コンパクトに重要知識がまとまった教材
サピックスというと『たくさんの問題を解く』『毎週の課題が多い』といったイメージが持たれがちです。しかし、コアプラスについては重要事項をまとめているものであり、まずはここを覚えることが大切という項目をまとめているためコンパクトな仕様になっています。
例えば、社会の場合には核となる知識を地理・歴史・公民の3分野から集めて大問としては720問にまとめられています。サピックス生にとっては普段の授業は分冊となっており、受験を通じてずっと使用する教材はほとんどありません。1冊の教材を受験の期間を通して使い続けるからこそ、重要な項目を戦略的に身につけて基礎から発展内容まで対応できる状態を目指す内容となっています。
サピックス(SAPIX)のコアプラスにおける使い方
どれだけ素晴らしい教材でも、正しく活用できなければ教材の内容も頭に入りません。そこで、ここではどのような使い方をすれば内容を頭に入れることができるのか紹介をしていきます。
スケジュールを決める
記憶をするためには何度も繰り返すことが大切です。一度暗記してすぐにすべてを覚えられるわけではないので、繰り返すタイミングも大切になってきます。そこで、どのようなスケジュールでテキストを反復して記憶に残していくかというスケジュールが大切になってくるのです。
基本的には一度覚えたものも、時間の経過とともにどんどん頭から抜けていきます。しかし、復習をして反復することにより長期記憶として定着をしていくようになるのです。はじめはスケジュールを組んで反復することに面倒さを感じるかもしれません。
しかし、少しずつ頻繁に繰り返して復習することは、少ない負担でたくさんのものを覚えるための最短の勉強法です。受験勉強をしていると忙しいからこそ、こまめに反復する時間を設けるようにしましょう。
授業が終わった日に早速復習をする
授業を受けるとすべて理解をして覚えられている気がするものですが、翌日には忘れてしまうことも多いです。そこで、授業が終わったその日に該当箇所をコアプラスで復習するようにしましょう。名前の通り、その単元の『コア』となる部分がどこかを理解することによって、知識が正確に身に付きます。
わからなかったところはテキストに戻る
コアプラスは基礎知識を身につけるための教材です。そのため、細かな説明は省かれている部分も多くあります。そこで、コアプラスの問題を解いてわからない部分が出てくることも少なくありません。そこで、もしも解いて知識が抜けてしまっている部分があれば、普段学習しているテキストに戻るようにしましょう。テキストの内容を確認することで知識も定着しやすくなりますし、正しく暗記できるようになります。
自分に合った方法を模索しながら進める
暗記の方法といえば『書く』のが定番です。理科や社会は語句を暗記する際に漢字も正しく覚える必要があります。そのため一度は書くことが必要でしょう。しかし、漢字を覚えるのが得意な子とそうでない子、目で見て覚えるのが得意な子、声に出すことで覚えやすくなる子など、人によって様々です。そこで、毎回勉強をしながら、自分に合った勉強方法を見つけていくようにしましょう。
自分に合った勉強方法が見えてくれば、一度取り組むのにかかる時間も短縮できるようになります。また、長期記憶になって頭に残りやすくなるタイミングがつかめることで必要以上に反復をする必要もありません。最初こそ手間はかかりますが、毎回コツコツと勉強をしていくことで暗記の最短ルートを作ることができるようになるのです。
覚えられなかったものには印をつけておく
何度か反復をして弔旗記憶として身に着いたからといって、もう復習の必要がなくなるわけではありません。どうしてもなかなか覚えられないものもあれば、時間が経ったことで抜けてしまう項目もあります。そこで、テストの前や長期休暇などのタイミングで復習をする機会を設けるようにしましょう。
復習をするときに役立つのが状況判断のできる印です。間違えたものに印をつけておくと覚えていないもの、苦手なものがすぐに判断できます。受験勉強は効率的に行うことが大切であり、空き時間ができて何をしようかと迷ったら、すぐに印がついているものに取り組めばよいのです。受験が終わるまで長く使う問題集なので、ある程度覚えたところでリセットをしたい場合には、鉛筆や消えるペンで印をつけるのがおすすめです。自分なりにわかりやすいルールを作って印をつけていきましょう。
コピーして使うのは有効なのか
印をつけたりアンダーラインを引いたりして問題集が使いにくくなるのが心配と考え、コピーして使うという人も中にはいます。たしかにコピーして使えばやり直しがしやすいです。ただ、コピーすると手間がかかりますしメモや印の清書の時間が必要です。
コアプラスの場合、関連知識を書き込んだりアンダーラインを引いたりするのは右側の知識の部分であり、紙などで隠せばそのまま問題集として使うことができます。失敗を恐れずコピーすることなく直接書き込みながら使うのでよいでしょう。
サピックス(SAPIX)のコアプラスは難関校でも有効なのか
基礎知識と聞くと、難関校の対策には不十分に思う人も少なくないでしょう。そこで、難関校を検討している人はどのようにコアプラスを活用すればよいのか紹介をしていきます。
サピックス(SAPIX)のコアプラスは難関校対策でも有効
御三家などの難関校でもコアプラスに掲載されている知識が出題されていることも多くあります。教材の名前になっている通り知識の『コア』となる部分です。そのためコアプラスを用いて学習する内容は、難関校の問題に対応していく学力を身につけるための土台となってきます。基礎の問題集だからこそ、丁寧に取り組んで確実に知識を身につけておきましょう。
サピックス(SAPIX)のコアプラスだけでは不十分なことを理解して取り組む
コアプラスは難関校対策として有効とはいえ、難関校の理科社会の入試問題というのは、一問一答形式の問題集だけでは対応しきれません。用語を答えるだけでなく、用語の意味を問うような記述問題も出題されます。一問一答の答えを覚えるだけでなく、答えを見てその用語の意味、問題文の部分まで覚えておくことが必要です。
さらに、コアプラスは知識を暗記するための教材であり、体系的な知識の理解までは対応していません。具体的には、資料の読み取りの問題や歴史の年号の並び替え問題といったものは実践問題で経験を積む必要があります。そこで、難関校の受験の場合には、入試直前までにコアプラスを完璧にするのではなく、小6の夏休みまでに完璧にすることを目指しましょう。夏休みまでに知識を完成させ、9月以降は過去問などの実践問題で、コアプラスで身につけた知識を活用する練習をすることで難関校に対応できる学力を身につけられます。
入試前まで反復練習は心がける
どれだけ頑張ってコアプラスの内容をすべて覚えたとしても、受験までの間に抜けていく知識はあります。そこで、9月以降に実践的な問題に取り組み始めると、知識が抜けているものに気付くことも少なくありません。そういったときにはコアプラスに戻って抜けている知識を復習する時間を作ることが大切です。
コアプラスは9月以降も時間ができたら目を通す教材として大事に使うようにしましょう。日々の暗記状況のチェックだけでなく、問題演習をした際に応えられなかったものや忘れていたものがあれば、コアプラスにチェックを入れていくようにします。受験が終わるまで、時間ができたらすぐに手に取り復習する相棒のような教材として活用するようにしましょう。
サピックス(SAPIX)のコアプラスの内容が身につかない場合
理科社会が苦手な子、暗記が苦手な子の場合、コアプラスのような基礎内容がまとまった教材でもなかなか思うように暗記が進められないこともあります。そのようなときにはどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。
保護者も協力して暗記を進める
中学受験をするという子でも、やはり小学校5年生や6年生では未熟な部分が多くあります。苦手なものに対しては『やりたくない』と思うこともありますし、なかなか集中して取り組めないこともあります。そこで、なかなか暗記ができない子に対しては、保護者がフォローを入れることも大切です。
具体的には一緒に暗記をしたり、口頭で一問一答の問題に取り組んだり、保護者が一緒に取り組むことで反復する機会を増やすようにします。一緒に取り組むことで、子どもたちも暗記のコツを身につけていくことができますし、できたと実感できることでやる気にもつながります。
一緒に取り組むときには、子どもにネガティブな言葉をかけないことが大切です。『また間違えたの?』『まだ覚えてないの?』といったことは言わないようにしましょう。子どもたちだって適当にやっているわけではありません。中には適当にやっているそぶりを見せる子もいますが、それは自己防衛の一つです。
真剣に取り組んで覚えられない姿を見せたくないために、雑な勉強をしたり集中しなかったりすることがあります。覚えられないときには紙に書きだして貼ったり、復習する機会を増やしたり、親子で二人三脚で協力し合いながら取り組んで達成感が得られ、やる気アップにつながるような取り組みを心がけましょう。
暗記できない理由を分析する
コアプラスの内容が暗記できないのにはいくつかの理由が考えられます。授業の内容が理解できていなかったり、一問一答の答えはわかるけれども漢字で書くことができなかったり、漢字を正しく覚えられていなかったり、一度覚えたものがすぐに抜けていたり、と人によって原因は様々です。
暗記できない理由を分析して正しく覚えられるようにトレーニングしていけば、誰でもコアプラスの内容を身につけることができます。やみくもに暗記の時間を設けるのではなく、なぜ暗記ができないのかということを分析するようにしましょう。一度、1週間ほど一緒にコアプラスに取り組んでみて、子どもたちが何に引っ掛かっているのかを確認すれば、改善策がみえてきます。
サピックス(SAPIX)のコアプラスがなぜ大切か理解させる
コアプラスは一問一答形式であるため、子どもたちの中には取り組む必要性が理解できない子もいます。『違う形式で質問されたら答えられないから意味がない』と思うのは決して間違いではありません。確かにただ覚えているだけだと、出題形式が違うと答えられない可能性は大いにあります。そこで、一問一答形式で答えだけを覚えればよいのではないことを伝えることが大切です。
ただ重要な用語を覚えるだけでは問題を解くことができません。一問一答形式で問いの部分にある用語の説明まで覚えていくことで知識が身につくこと、問題が解けるようになることを伝えていきましょう。コアプラスを通してどのような力をつけていきたいのか、どうすれば得点力につながるのかが理解できることで、正しく取り組めるようになり知識が身につくようになるでしょう。
サピックス(SAPIX)のコアプラスの評判・口コミまとめ
ここまでで、中学入試の教材として人気のある『コアプラス』を紹介しました。理科社会の基礎となる知識がまとまっており、なおかつサピックスメソッドを知ることができる教材となっているためサピックス生以外にも使用者の多い教材です。普段の授業内容の復習をしながら『コア』となる知識を身につけていくことができます。
難関校対策としても十分効果のある教材です。ただし、難関校となると基礎知識の一問一答形式での理解だけでは対応ができません。そこで小学校6年生の夏休みまでにコアプラスの内容を確実に身につけ、9月以降は過去問などの演習問題で暗記した知識を活用する練習をすることが大切です。
一度覚えてもすべてを入試当日まで完璧に身につけておくことは難しいですから、9月以降も時間のあるときには見返す時間は設けるようにしましょう。